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シューベルト アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821 | マイスキー(Vc) アルゲリッチ(Pf)

 残暑厳しいこの頃とはいえ、今週に入ってから随分と涼しくなってきたと感じるこの頃である。秋の夜長にはまだ早いが、涼しい夜には久しぶりにチェロが聴きたいと思った。今日棚から見つけたのは、フランツ・シューベルトが、アルペジオーネという楽器のために1824年に作曲したソナタ。アレグロ・モデラート、アダージョ、アレグレットの3楽章からなっている。

 アルペジオーネ(アルペジョーネ)というのは、1823年頃にウィーンのギターメーカーであるシュタウファーによって発明され、その後少しばかりの流行をした後、まもなく絶えてしまった楽器である。形はチェロやヴィオラ・ダ・ガンバにそっくりで、膝のあいだに挟み弓で弾くところも同じである。ただ一番の違いはチェロが4弦(弦が4本張られている)のに対して、アルペジオーネはギターと同じ6弦。しかも開放弦の音もギターとまったく一緒なのである。また指板はチェロと同じく黒いが、そこにはギターと同じくフレットが付いているという不思議な楽器だ。(チェロやヴァイオリンにはフレットがない。)チェロのようなコシやハリのある音色は出ないものの、独特の深みと味わいのある音色を出す。そんな楽器である。(ちなみにアルペジオーネは今日ほとんど残っていないから、この曲は通常、チェロまたはヴィオラによって奏される。)

[参考]ウィキペディアにおける解説
http://en.wikipedia.org/wiki/Arpeggione

[参考]本物のアルペジオーネによる「アルペジオーネ・ソナタ」の演奏


 
 さて今日聴いたのは、1984年にチェリストのミッシャ・マイスキーが、ピアニストのマルタ・アルゲリッチとともに演奏したもの。まず見事なのが序奏のアルゲリッチのピアノ。マイスキーのチェロが登場する前だというのに、このピアノだけで一気に世界に引き込まれてしまうのである。一体、どっちが主役なんだろうか(笑)。それにしてもなんと抒情性溢れるピアニズムだろうか。存分に旋律を歌いあげ、存分に音楽を愉しんでいる。音楽することの喜びに満ちた、そんな演奏である。ミッシャ・マイスキーのチェロもアルゲリッチの巧みなリードに従い、この魅力あふれる旋律線を見事に奏でている。


ma_ar.jpg



[試聴]
※残念ながら同じ演奏の試聴できるサイトがなかった。これは同じくアルゲリッチのピアノだがヴィオラと一緒に演奏したもの。
http://www.youtube.com/watch?v=ga1pey0A0cA


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

愉悦の時 アンドラーシュ・シフのシューベルト

 アンドラーシュ・シフというピアニストを気に入っている。

 1953年、ハンガリーで生まれたこのピアニストは、よくモーツァルト・ベートーヴェン・シューベルトの演奏に定評があると言われるが、「定評がある」などというレヴェルではなく素晴らしい。個人的には特にスカルラッティ、バッハ(特にゴルトベルク変奏曲)、シューベルトの演奏が大好きだ。

 そういうわけで今日はアンドラーシュ・シフの演奏するシューベルトを聴いている。曲はピアノ・ソナタ第1番イ長調、第9番ロ長調、第19番ハ短調。これは1997年に東京オペラシティ・コンサートホールの杮落としのために開かれたシューベルト連続演奏会の録音だ。

 シフはこの数年前に全集を録音しているが、この日のピアノもCDと同じくベーゼンドルファーを持ち込んだ。見事に調整を施されたベーゼンドルファーの、まろやかで豊かな音色が、シフの変幻自在のタッチにより輝いていく。昔からベーゼンは湿気に弱く、湿潤な日本の気候下での保管には適さないと思っていたが、このように見事な整調・整音の為されたフルコンを聴くと、そんなことはどうでも良くなってしまう。さすが低音域の響きは豊かで、シフはそれと絶妙のバランスを取りながら高音を奏でていく。いわゆる「鉄が鳴る」スタインウェイでは絶対に出せない、オーストリアの名器だ。

 ピアノの話になってしまったが、シフの演奏はいうまでもなく素晴らしい。元々学者的というか、研究熱心なシフの演奏は、超弩級の真面目な、かっちりとしたものだが、よくそういった演奏にありがちな無味乾燥としたものでは決してない。むしろその正反対で、引き出される音楽はどこまでも愉しく快い。パッセージごとに変わりゆく音色のなんと色彩感溢れることか。気の向くままに音の散策を続けていくような、まさにシューベルトらしい演奏がここにはある。

 特に19番のソナタ。有名な18番の幻想ソナタと20番の「楽興の時」にはさまれているハ短調の曲で、これは30分を越える曲だが、大抵の演奏では飽きてしまう。シューベルトの演奏というと、先に述べたような音の散策にはまり込みすぎるあまり迷走したり冗長になったりすることが多いように思う。(もしかしたら私の音楽経験の浅さによる見当ハズレかもしれないが。)だがシフには、底辺に研究しつくされたがっちりとした土台があるため、決して迷走などしない。嫋嫋とした余韻と、シューベルトの静けさを保ちつつ、この大きな音楽を見事に奏でている。知性と愉悦の見事な調和。これほどの幸せな時間は久しぶりだ。

[試聴]シフ氏の演奏は、なかなか無料が見つからなかった。曲は違うけれど。


[CD]シューベルト/ピアノソナタ全集(アンドラーシュ・シフ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005FKM2/meditationes-22/ref=nosim

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