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ベルク 歌劇「ルル」 | シェーファー(Sop.)デイヴィス指揮ロンドン・フィル

 普段、休日も何かと仕事をしてしまうたちなので、なかなかオペラをじっくりと見ることができない。というわけでこの連休は久しぶりにオペラを見たいと思っていた。今日観たのは「ルル」。1929年から着手されたオーストリアの作曲家アルバン・ベルクの遺作。全3幕ということになっているが、実際にベルクが完成させたのは2幕までで、第3幕は1979年になって同じオーストリアの作曲家フリードリヒ・チェルハによって補筆された。20世紀の、それも無調音楽を経て12音音列技法に至った新ウィーン楽派の作品ということで、それは決してモーツァルトのオペラのように聴きやすい響きではないかもしれないが、ベルクらしく調性感をふんだんに取り込みながら、歌、声、叫びといった要素が見事に織り込まれた音楽。ベルクが遺した第一級のオペラであり、充実した内容を持っている。

 アルバン・ベルクは、1885年に生まれ1935年に没したオーストリアの作曲家。あのシェーンベルクの弟子であり、同じ弟子のヴェーベルンとともに新ウィーン楽派と呼ばれた。この楽派だけをもって無調からその後の音楽へつながったという認識は乱暴だが、その後の20世紀の音楽に多大な影響を及ぼしたということだけは間違いない。

 そもそも19世紀後半から、導音などによるお決まりの進行による終止という機能の存在意義が薄れたり、不協和音が解放されたり、調性が崩壊したり・・・といった流れの中で、まず初めに師匠のシェーンベルクがやむにやまれぬ状況の中から無調の扉を開き、さらに1921年に12音音列技法という新時代の作曲法を編み出した。このオペラ「ルル」でも、この新技法がいかんなく発揮されているわけだが、ただあまり細かいことに触れても仕方がない。こうしたことを抜きにしたって、20世紀に書かれたこのオペラには、歌と声が効果的に使われたり、途中、無声映画が挿入されたりと、実に面白いから。でも例えば、ワーグナーのライト・モティーフのように、各登場人物に固有の音列が与えられ、それが効果的に用いられているのは興味深い。(主人公ルルに関する音列を何度か繰り返して、その長い音列の何個目かずつの音を等差でとったものが、他の登場人物の音列として使われて・・・という風にそれぞれの音列の作り方にも工夫がある。)


ルル


 今日観たのは、1996年7月27日に英国のクラインドボーン音楽祭(クラインドボーン・オペラ・フェスティヴァル)で上演されたもの。ルル役をソプラノのクリスティーネ・シェーファーが歌い、アンドリュー・デイヴィス指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏のものである。この歌い手を選び、役作りの難しいルルを、シェーファーは見事に演じている。身勝手に自己の欲望を投影しようとする男たちを次々と死に追いやるルル。男を惹きつけてやまない抜群の魔性の中にも、清らかさが同居するシェーファーのルル。クリスタル・ボイスがシンプルな舞台演出と相まって素晴らしいマッチングを見せている。20世紀に生まれたこの名作の、20世紀最高の名演。

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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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