スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ショパン ノクターン | アルトゥール・ルービンシュタイン

 ラプソディーのことを「狂詩曲」といってみたり、ソナタを「奏鳴曲」といってみたり、音楽用語の和訳には疑問を感じるものも少なくないが、この「夜想曲」についてはとても気に入っている。夜を想うのか、夜に想うのかはこの際どちらでも良い。ノクターンをこんな素敵な言葉に訳した人は素晴らしい。

 今夜は久しぶりにショパンを聴いている。こんなにショパンを繰り返し聴きこんだのは、学生時代以来かもしれない。実は昨夜飲みの席上で、同じ職場の方が、私が以前から聞きたいと言っていたショパンのノクターン集のことを覚えていてくださって、持ってきてくれたのである。演奏はかのアルトゥール・ルービンシュタイン。20世紀の前半から中頃にかけて、全世界の人気をライバルのウラディーミル・ホロヴィッツと二分した天才ピアニスト。その演奏は一つの極みである。


ショパン ノクターン


 実は昔から、ホロヴィッツの演奏こそ素晴らしいと感じてきた私は、これまでルービンシュタインのノクターンをろくに聞いたことがなかった。ただこの65年盤が素晴らしいことは色々な紙上で読んできたし、いつかはきちんと聴いてみたいと思っていた。それがF女史の親切のおかげで訪れることになろうとは想像だにしていなかったが、一度聴いてみると、もっと早く聴いていたら良かったと思った。それほどに素晴らしい。

 ルービンシュタインのピアノは、よくオーソドックスだとか自然体だとか言われるけれど、それは単なる無個性というわけではない。濃厚な感情を生々しく露出させるホロヴィッツとはまるで正反対の音楽ではあるが、彼の奏でる音楽は、聴けば聴くほどに味わいが出てくる。そうした仄かな味わいが舌の上にいつまでも残り続け、やがて気づくといつのまにか豊かな感動と典雅さに包まれているといった、そんな演奏である。まるで美味しい昆布を時間をかけてかじっているような・・・・・・いや、ちょっと例えが変かもしれないが(汗)。

 でもこうしてみると、先ほど「もっと早く聴いていたら良かった」と書いたけれど、実は今このタイミングで聴けたことが良かったのかもしれないと思い直した。というのは、私がショパンを徹底的に聴き込んでいたのは大学時代。今思えばあの頃はまだショパンの音楽の、ごく表層をなぞっていただけのようにも思える。つまりショパン作品のごく浅いところを覆っているロマンティックな雰囲気だけを求めていたように思うし、その表皮を剥いたところにある、彼の音楽の奥底・・・点と線によって構築され、水墨画のようなモノクロームの世界に存在する枯れた境地・・・といったものには到底たどり着けなかったように思う。そう考えると、ホロヴィッツの演奏というのは入門者から上級者まで良くも悪くも幅広く対応できるマルチなところがあるが、一方でルービンシュタインの弾くショパンというのは、その時点では良さを感じたつもりでも、実はまだまだだったとか、経験するごとにより深みに至っていくというような、いわばショパンの音楽そのものみたいなところがある。この調子でいくと、10年後は今では味わえない魅力に包まれているだろうし、30年後、40年後などに至っては、一体どんな幸福が待っているのだろう。

 素晴らしい音楽を紹介頂いたことに感謝しつつ、更けゆく夜に物思う。


[試聴]Amazonのページで試聴できる
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3-%E5%A4%9C%E6%83%B3%E6%9B%B2%E5%85%A8%E9%9B%86I-%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/B00005EGW7

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

コメント

夜、ショパンに想うこと

私は20代後半にアシュケナージのショパンにハマりました。以来ずっとこの方のショパンを愛し他のピアニストの演奏にはまったく興味なくて・・・それなので、たこv-15さんがホロヴィッツにこだわったお気持ち、とっても良くわかりますv-411
ちょっとヘンな表現で申し訳ないのですが、私の場合はシューマンで私自身のスタンダードが決まったというか、シューマンというフィルターを掛けたり外したりというか、そうすることでいろいろな作曲家や演奏家を知ることができました。
良く知っていたつもりの曲に、今までだったら絶対感じなかったような、また知りえなかったような魅力を感じたりと、あぁ音楽とは本当に奥が深いなと喜びを感じる今日この頃です。
私も20年後、30年後とどんな幸福をを感じるようになるのかととても楽しみです。

こんばんは

ショパンをいつか聴こうと思いながら、ずーーっと聴いてません。
リンクのアマゾンで試聴させていただきました。
なるほど、素晴らしい曲ですね。
聴いたことある旋律も1曲。

いずれこのCDを買いたいと思います。

アルヴェーンの交響曲のCD買ってしまいました。

Re: 夜、ショパンに想うこと

おはようございます!お返事遅くなってしまってすみません。こうやってコメントいただけることが本当に嬉しいことなのに、最近、ネットする時間がなかなか取れないんです。すみません。。

はるりんさんはアシュケナージだったんですね。アシュケナージにしろホロヴィッツにしろ、ロシアのロマン派作品の演奏には逆らい難い魅力があるように思います。

シューマン・フィルターのお話、なるほどと思いました。クラシック音楽ってその方その方それぞれに楽しみ方・味わい方があって、いろいろとブログなど読ませていただいているとすごく勉強になります。私の場合はむしろはるりんさんの逆で、節操がないというか、何を聴いても一定以上は満足してしまう性質なものですから、シューマンという一つのものさしを持つはるりんさんがうらやましいです。

それにしても、こんな絵文字あったんですね~(笑)→v-15

Re: こんばんは

おはようございます!このところ、お返事が遅くなってしまって本当にすみません。

ショパンの曲って、私の場合は、一時期、寝ても覚めてものようなところがあって、全集を買いそろえたり、大変なハマり方だったんです。それが先日改めてじっくりと聞いてみると、今まで見えていなかったものがあったり、このルービンシュタイン盤からいろいろなものを教えてもらった気がします。kurt2さんも是非、ショパン聞いてみてください(^^

アルヴェーンの交響曲、いかがだったでしょうか。記事でご紹介したのは若書きの1番ですが、2番も聴きやすくて、とっても良い曲だと思ってます^^
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。