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ホロヴィッツ モスクワ・ライヴ1986 | ウラディーミル・ホロヴィッツ(Pf)

 「舌の根の乾かぬうちに」・・・というわけではないのだが・・・。

 少し前にルービンシュタインについて書いたし、それはルービンシュタインこそ素晴らしいというような内容だったけれど、今日はホロヴィッツを聴いている(汗)。そして何より思うのは、やっぱりホロヴィッツこそ素晴らしいということである。

 ・・・・・・やはりこういうのを「舌の根の乾かぬうちに」というのだろう(汗)。
 舌といえば、かの巨匠もドーバー海峡の舌ビラメの料理が大層好物だった・・・まったく関係ないが。

ホロヴィッツ・ライヴ・イン・モスクワ1986


 ウラジーミル・ホロヴィッツについては、今更語る必要がないというほど有名な20世紀の巨匠である。1903年にウクライナ(当時のソ連邦)に生まれ1989年に没したアメリカのピアニスト。神経質で常に癇癪を起す変人などともいわれるホロヴィッツであるが、一方で12年ぶりの彼のコンサートのチケットを買うために長蛇の列を作ったファンのために、食品販売用のワゴン車を繰り出して、人々がただでコーヒーとドーナツにありつけるよう手配した(フランツ・モア著「ピアノの巨匠たちとともに」音楽之友社)など心温まるエピソードもある。愛用のピアノについては、抵抗がなく非常に軽く、でも戻る力は非常に強い鍵盤を好んだという。また「ホロヴィッツ・トーン」といわれる彼独特の音色と、完璧にピアノを制御しきる最高度のテクニックによって繰り出される名演奏の数々はそのほぼ全てが神がかっている。名実ともに20世紀最大のピアニストといえるだろう。

 そのホロヴィッツが1986年4月20日に、82歳にして61年ぶりの帰郷を果たした記念すべきモスクワでの演奏会の録音を今日聴いている。曲目は以下の通り。

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1. ソナタ ホ長調K.380(D.スカルラッティ)
2. ピアノ・ソナタ第10番ハ長調K.330(モーツァルト)
3. 前奏曲ト長調op.32-5(ラフマニノフ)
4. 前奏曲嬰ト短調op.32-12(ラフマニノフ)
5. 練習曲嬰ハ短調op.2-1(スクリャービン)
6. 練習曲嬰ニ短調op.8-12(スクリャービン)
7. ヴァルス・カプリス第6番 ウィーンの夜会(シューベルト/リスト編)
8. 巡礼の年第2年「イタリア」~ペトラルカのソネット第104番(リスト)
9. マズルカ嬰ハ短調op.30-4(ショパン)
10. マズルカへ短調op.7-3(ショパン)
11. 「子供の情景」~トロイメライ(シューマン)
12. 花火op.36-6(モシュコフスキ)
13. W.R.のポルカ(ラフマニノフ)
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[試聴]
http://listen.jp/store/album_00028941949929.htm
※なぜかIEでないと正常に聴くことができないようだ。


 最初のスカルラッティが鳴りだすと同時に、ああ、やっぱりホロヴィッツの音だと実感する。少し鼻にかかったホロヴィッツの音色。「モーツァルトはロマン派のように弾き、ショパンは古典派のように弾く」という彼の言葉通り、甘くロマンティックなモーツァルト。続くスクリャービンは絶品である。ホロヴィッツを聴いていていつも思うことだが、フォルテよりもピアノ、特に最弱音をどうしてこんなに美しく、鮮明に、絶妙の音色とコントロールで出すことができるのか。音量が物理的に小さくなるという以外、何も損なわれるものがない。10本の指から、まるでオーケストラのように、色鮮やかに変幻する極彩色の音色が紡がれ、良い意味でこちらの予測を裏切る音楽が、否応なしに聴き手の私を惹き込んでいく。これを恣意的な解釈だとか、批判することはいくらもできよう。だが私は、そんな難しいことを抜きにして、彼の音楽が大好きである。

 余談だが、この演奏会はシートのほとんどを政府関係者や大使館関係者などが占めてしまい、一般に売り出されたのは僅かに400枚程度。モスクワ音楽院の学生たちがチケットを手に入れられないときいたホロヴィッツは、全員をリハーサルに招待し、しかもそこでリハではなく、本番をやったという。何と気難しくも愛すべき巨匠なのだろうか。

 ルービンシュタインに続いて、この素晴らしいCDを渡してくださったF女史に感謝しつつ、今宵は無性にうまい舌ビラメと発泡性のワインが食べ(飲み)たくなってきた。

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

コメント

No title

舌平目とホロヴィッツとはお洒落ですね♪

しかし、この巨匠も粋な方です。
惚れてしまいそう^^
「モーツァルトはロマン派のように弾き、ショパンは古典派のように弾く」とは名言ですね!

Re: No title

まるで子供のように癇癪を起こすこともあれば、人情味溢れる一面をもっていたり、本当に巨匠って感じの人ですよね。世界をツアーで周るときも、必ずパリからドーバー舌平目を直送させて、専属のコックに作らせていたとのことです。やっぱり巨匠はスケールが違います(笑)。

こんにちは。

ホロヴィッツさん。
あんなシューマン弾く人はホロヴィッツしかいないというか・・・すっごいお方です。
トロイメライはうっとりです~~~。
ひさびさに、この巨匠のシューマンを聴こうかしらん・・・

ところで、やはり巨匠というか一流の方は、一流の金と時間の使い方をご存じというか・・・
モスクワ音楽院の学生のエピソード。
さすがです。

Re: こんにちは。

トロイメライ、泣けますよね><;;
ホロヴィッツのあのなんともいえない音色が好きなんです。

>一流の方は、一流の金と時間の使い方をご存じというか・・・
すぐに癇癪を起こして、時にはグランドピアノの大屋根の突上棒をコブシで殴り続けて屋根を落としてしまうほど激しかったといいますが、一方で学生さんをリハに招いて本番やってしまうあたり、素晴らしいバランス感覚ですよね。
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