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音楽のハナシ04 古代ギリシアの音楽(4)

 音楽のもつ効用について、古代ギリシアほど重要視し、また心配した文明もないと思います。模倣(ミメーシス)というものを重要視したプラトンは、こう書いています。

「真似というものは、若いときからあまりいつまでも続けていると、身体や声の面でも、精神的な面でも、その人の習慣と本性の中にすっかり定着してしまうものだ」(「国家」より)

 としたうえで、「変化抑揚に乏しく」「単一の音階に為される」音楽と、「ありとあらゆる変化抑揚を持って」おり「ありとあらゆる音調とリズムを必要とする」音楽とが対比され、前者のアポロン的音楽こそが国家にはふさわしいという話になります。まるで「ヘヴィメタだのパンクだのは不健康な音楽だから若者には禁止!」とおっしゃるPTA総会のようでもあり(いや、それはそれで一理あるとも思うのですが)、メイデンやツェッペリンのCDを車に常駐させている私としては肩身が狭い思いです(汗)。

 そして議論は具体的な音楽のことに入っていきます。ちなみにプラトンの著作は全てディアレクティケー(対話形式)で書かれています。少し長いのですが、基本的に肯定するだけの応答は省略しつつ引用します。

「まず第一に、次のことはよく納得できて、言えるはずだ。歌というものは三つの要素、すなわち言葉(歌詞)と、調べ(音階)と、リズム(拍子と韻律)とから、成り立っているということは。」
「そして調べとリズムは、言葉に従わなければならない」
「しかるにわれわれは、言葉で語るいろいろの話のなかに、悲しみや嘆きはいっさい不必要であると主張した」
「では、悲しみをおびた調べとしては、どんなものがあるだろうか?」

「混合リディア(ミクソリディア)調や、高音リディア調や、これに類するいくつかのものです」
「そうすると、それらの調べは排除されなければならない」
「さらにまた、酔っぱらうことや、柔弱であることや、怠惰であることは、国の守護者たちにとって最もふさわしくないことだ」
「では、柔弱な調べや酒宴用の調べとしてはどんなものがあるかね?」

「イオニア調やリディア調のある種類のものが、『弛緩した』と呼ばれています」
「どうやらドリア調とフリギア調が残されるようです。」
「ぼくはそれらの調べのことは知らない。しかしとにかく、君に残してもらいたいのはあの調べだ。すなわちそれは、戦争をはじめすべての強制された仕事のうちにあって勇敢に働いている人、また運つたなくして負傷や死に直面し、あるいは他の何らかの災難におちいりながら、すべてそうした状況のうちで毅然としてまた確固として運命に立ち向かう人、そういう人の声の調子や語勢を適切に真似るような調べのことだ。そしてまたもう一つは、平和な、強制されたのでなく自発的な行為のうちにあって、誰かに何かを説得したり求めたり----相手が神であれば祈りによって、人間であれば教えや忠告によって----しながら、あるいは逆に、他の人が求めたり教えたり説得したりするのにみずから従いながら、そしちてその結果が思い通りにうまく行って、その上でけっして驕りたかぶることなく、これらすべての状況において節度を守り端正に振舞って、その首尾に満足する人、そういう人を真似るような調べだ。これら二つの調べ----(省略)----何かそのような調べを残してくれたまえ。」
「あなたが残すように求めておられる調べは、私がいま挙げたものと別のものではありません。」
「そうするとわれわれには歌と曲調のなかで多くの弦を使うことも、あらゆる調べ(音階)を含むような様式も、必要ないことになるだろう」
「してみると、三角琴やリディア琴などの、およそ多くの弦をもち、多くの転調を可能にするようなすべての楽器を作る職人を、われわれは育てはしないだろう」
「ではどうだろう。君は笛を作る職人たちやその演奏者たちを、国の中へ受け入れるかね?それとも、この笛こそは、いわば最も『多弦的』な楽器であり、あらゆる転調をこなせるような他のさまざまの楽器そのものが、この笛を真似たものといえるのではないかね?」
「そうすると君にはリラとキタラとが残されて、都市で用いられることになる。他方また田舎では、牧人たちが一種の牧笛を持つことになるだろう」



 ううむ。。。


The_eight_musical_modes.jpg
コメント

こんばんは

う~む...
私の「う~む」は難しくて文章が理解不能なところでの「う~む」です。調のことを言ってるのだろうな~というのは分かるんですが、調のことは私にはよく分からないので???です。失礼こきました。

なるほど

音楽というのは、人の心に強く
働きかけますからね。

音楽で人を操ろうとした例は
すごくありますよね。

コマーシャリズムでも音楽を
かなり利用していますよね。

Re: こんばんは

kurt2さん、こんにちは。
急に年末に向けて忙しくなってしまい、お返事が遅くなってしまいすみません。

一つの音階というとちょっと乱暴かもしれないですけど、例えば私たちが沖縄の音楽を聴いたときに、たとえそれが沖縄の音楽だと知らなくても、ああ、沖縄のメロディーだなあとわかっちゃう。なぜなら、沖縄の調べが聞こえるからです。音階でいうと、ドミファソシドだけでメロディーを作れば、琉球の響きになります。ドミファソシド、ドシソファミドと音階をのぼって降りるだけでそう聞こえるんですから、不思議です。これが調べです。古代のギリシアにはそれぞれの地方に由来する名前のたくさんの調べがあったというのは、すごいなあと思うんです。

Re: なるほど

四季歩さん、こんにちは。
年末に向けて急に忙しくなってしまい、お返事が大変遅くなりました。すみません。
音楽の政治利用って、古代からあったんですね。20世紀でも、R.シュトラウスの音楽を用いたナチスのプロパガンダとか、そもそもほとんどの国の国歌の歴史だって、そうだと思います。コマーシャリズムでも利用され、また社歌なんていうものもあります。音の力というのはスゴイなあと思います。
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