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ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」 | ズヴェーデン指揮オランダ放送フィル

 ここのところ通常の仕事に加えて職場の移転などが重なり、なかなか休みが取れずブログをじっくり書く暇がなかった。今日は少しだけ早く上がることができたので、帰宅後、何か聞こうと思ったが、はてこのところといったら癒しを求めてか静かな声楽作品ばかり聴いてきたような気がする。何となくではあるが、正反対の、巨大なオーケストラでドカンと鳴るような音楽はないかと思案しているうちに、そういえばちょっと前に「EXTON」というレーベルを展開しているオクタヴィアレコードのT氏が熱心に勧めていった一枚がまだ未聴だったことに気づいた。ストラヴィンスキーが1913年に書き上げた問題作。聴衆の度肝を抜く不協和音と原始的で荒々しいリズム、そして強大な音量と横溢する狂喜。古今東西、問題作というのはいくつもあるだろうが、初演で怒り狂った聴衆によってけが人が出たというのはこの曲ぐらいではないか。


ストラヴィンスキー


 イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキーは、1882年に生まれ、1971年に没した、ロシアの作曲家だ。渾名は「カメレオン」。生涯に大きく分けても原始主義、新古典主義と移行した後、対立関係にあった敵側のシェーンベルクのドテカフォニー(12音音列技法)を採用し、晩年はさらにそれを発展させたセリエリスム(セリー技法)へと到達した。大きく分けても3つの、細かくわけると無数の異なる作風・手法を用いたその様はまさにカメレオンの如しであるが、生涯に渡るあまたの作品のほとんどが単純なトライ・アンド・エラーの実験に終わることなく大変優れた作品であるというのは、ストラヴィンスキーが音楽史上の天才に名を連ねるに相応しい巨人であったといえるだろう。逆にいえば、ある年代の曲が大層気に入ったからといって、次のCDを買うと面食らうということもある。(晩年の技法が、完全なるトータル・セリーではなく、「多様式」であるという見解もあるが。)また同郷の先人チャイコフスキー同様、バレエ音楽が有名な作曲家とも言えるだろう。チャイコフスキーの三大バレエといえば、「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」であるが、ストラヴィンスキーの三大バレエは「火の鳥」、「ペトルーシュカ」、「春の祭典」である。

 この春の祭典は、1913年に書き上げられたバレエのための音楽である。バレエといっても、チャイコフスキーのようなお上品なバレエではない。ディアギレフから委嘱を受けて作曲された、いわゆるモダン・バレエといわれる、クラシック・バレエとは異質なバレエ、とその音楽だ。それまでの西洋クラシック音楽のリズム語法とは異なる、荒々しくも精緻に構築されたリズムが織りなす「時間芸術」。旋律線のもたらす流れでも、和声のもたらす同時性でもない、リズムによる推進力というのは、21世紀の今聴いても同時代的な響きを失っていないし、また和声的にも多調性と無調が同居するこの音楽は、現代を生きる私たちにとても調和して聞こえる。

「しかしなによりおもしろいのは、あきらかにプレ・モダン的な存在として出発した彼が、ときにはモダニズムの権化のようにふるまいつつも、折衷という言葉がむしろ積極的な意味をもつようになったポスト・モダンの時代、すなわち二十世紀末の音楽を先取りしているようにみえることだ。未来を作品において予告するのが芸術家の役割だとするならば、彼はまさしくそれを果たしたのである。」(「作曲の20世紀」長木誠司ほか 音楽之友社)

 長々とした話はこのくらいにして、今日聴いたヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団による演奏について。一聴して感じたのは、まず録音の素晴らしさ。これこそがSACDの底力といってしまえばそれまでであるが、録音の優秀さで有名なEXTONレーベルならではの生々しく素晴らしい音響だ。音量を上げて聴いてみると、確かにオクタヴィアレコードのT氏がおっしゃるように「家が震える」ほどの音圧・迫力である。

 演奏は、ズヴェーデンならではの精緻な楽曲解釈と正直な再現による、真面目で丁寧な仕事が目を引く。この点において、先に出たゲルギエフ指揮の盤と好対照をなすだろう。ロシアの情熱ほとばしる原始性を全面に押し出したゲルギエフ盤に対し、スヴェーデンの演奏は楽曲のもつ原始性はそのままに、それを極めて冷静沈着に処理している。このことがこれまでに味わうことのない、独自の音楽世界を築き上げており、「ハルサイ」ファンにとっては必聴の一枚といっても過言ではないだろう。

 もっと早く聴けばよかった。素晴らしい名盤である。


ズヴェーデン 春の祭典


[試聴]
http://music.e-onkyo.com/goods/detail.asp?artist=%83%84%81%5B%83v%81E%83%94%83%40%83%93%A5%83Y%83%94%83F%81%5B%83f%83%93

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

コメント

けが人が出るの

なんかわかるような気がします。
まだ独身だったころ、友達とN響に行った時のプログラムがチャイコフスキーP協とこの曲。
友達がP協が聴きたくって行ったんだけど、すっごい曲があるもんだと二人でぶっとんだ記憶あります。
NHKホールの廊下で感極まった青年がティンパニーを叩いているんです。ティンパニーは無いのに・・・それを見てまた二人でぶっとびました。
交わす言葉もなく帰った記憶あります。。。
考えようによっては今までで一番インパクトある演奏会だったような・・・・

Re: けが人が出るの

 確かに「ぶっ飛ぶ」という表現がぴったりの曲だと私も思います。これまで体験したことのない種類の音楽。荒々しく、野性的といえるまでの率直な感情の起伏、まさに野獣の音楽であります。

 多少長いのですがウィキペディアの引用になりますが、「初演にはサン=サーンス、ドビュッシー、ラヴェルなどの錚々たる顔ぶれが揃っていた。曲が始まると、嘲笑の声が上がり始めた。そして始まったダンサーたちの踊りは、腰を曲げ、首をかしげたまま回ったり飛び上がるという、従来のバレエにはない振付であった。野次がひどくなるにつれ、賛成派と反対派の観客達がお互いを罵り合い、殴り合りあい野次や足踏みなどで音楽がほとんど聞こえなくなり、ついには、ニジンスキー自らが舞台袖から拍子を数えてダンサーたちに合図しなければならないほどであった。ディアギレフは照明の点滅を指示し、指揮していたモントゥーが観客に対して「とにかく最後まで聴いて下さい」と叫んだ程だった。ストラヴィンスキーは自伝の中で「不愉快極まる示威は次第に高くなり、やがて恐るべき喧騒に発展した」と回顧している。当時の新聞には「春の虐殺」(Le "massacre" du Printemps)という見出しまでが躍った。サン=サーンスは冒頭を聞いた段階で「楽器の使い方を知らない者の曲は聞きたくない」といって席を立ったと伝えられる。」とあります。(汗)

>NHKホールの廊下で感極まった青年がティンパニーを叩いている
エア・ティンパニだなんてっ!!(@@;;
ぶ・・・ぶっ飛んでますね~~~!!(><;;

この曲でニジンスキーですか

ウィキペディアによるとこの曲の振付はニジンスキーなんですね。それはますます凄いv-405。音楽だけでもぶっ飛ぶわけですから、当時の観客のぶっ飛び具合は相当なものだったと思います。
ぜんぜん話は変わるのですが、ニジンスキーと言うとフレディ・マーキュリーを思い出します。彼の「牧神の午後」がまた凄いんですよ~v-402

Re: この曲でニジンスキーですか

ニジンスキーって、やっぱりかなりのぶっ飛びだったんですね(汗)。
牧神の午後への前奏曲・・・どのような内容だったのか全く知らないのですが、この曲のそもそもが持つ濃厚な雰囲気は、ニジンスキーの世界と合っていたんでしょう。ニジンスキーの踊りを動画で見られたら最高なのですが。

フレディ・マーキュリー、確かに衣裳が似ています(笑)。
何か関係があったのでしょうか・・・気になります。

こんばんは

この曲は凄いですよね。
気持ちが鼓舞されるとかいうよりもっと先の次元に行ってます。
昔聴いたとき、第2部にはビビッたんですが、1部のフィナーレというのでしょうか最後の部分を聴くと体が熱くなってきます。
凄すぎる!
ただ、一言言いたいのは第2部の表題から「いけにえ」という
言葉を取ってほしいです。
2部を聴きづらいです。

Re: こんばんは

第一部、大地礼賛の最後、大地の踊り・・・一大スペクタクルっていうかんじですよね。ストラヴィンスキーの見事な管弦楽法が爆発して、壮大なスケールになってます。確かに「生贄」・・・あまりに生々しい表現ですが、ストラヴィンスキーが見た白昼夢こそこの瞬間。一人の少女が死ぬまで踊らされて、ついにはその命と引き換えに春の神への生贄となる・・・なんとも原始の世界の生気あふれる生々しい光景です(><;;

ホント、いろいろな点でぶっとんでます。。。

No title

サイト運営し始めた者なんですが、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://hikaku-lin.com/link/register.html
こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
YcXxbBmG

Re: No title

この度は、ご来訪、誠にありがとうございます。
そちらのサイトを拝見しましたところ、当方、リンク集のみのサイト様との相互リンクは基本的に遠慮させていただいております。
せっかくのお申し出にもかかわらず大変恐縮なのですが、悪しからずご了承くださいませ。
末筆ながら貴サイトのご発展をお祈り申し上げます。
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